食物繊維の効能と1日の必要量|不足症状・多く含む食品も解説

食物繊維を多く含む野菜・豆 栄養の雑学

食物繊維の効能と1日の必要量を正しく理解すれば、腸内環境だけでなく血糖・コレステロール管理にも役立ちます。本記事では、食物繊維の効能、1日の目標量、不足症状、含まれる食品、過剰摂取の注意点まで、厚生労働省の公的情報をもとに分かりやすく解説します。

食物繊維とは?(定義と種類)

食物繊維は「人の消化酵素で消化・吸収されず、小腸を通過して大腸に達する食品成分」です。種類は大きく2つに分かれます(参考:厚生労働省 e-ヘルスネット)。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違い

  • 水溶性:ペクチン、アルギン酸、グルコマンナンなど。水に溶けてゼリー状になり、糖や脂質の吸収をゆるやかにします。
  • 不溶性:セルロース、ヘミセルロース、リグニンなど。水に溶けず、便のかさを増やし腸のぜん動を促します。

「第6の栄養素」と呼ばれる理由

整腸作用に加え、代謝・循環器系の健康にも関わることが明らかになり、「第6の栄養素」と呼ばれることがあります。

食物繊維の効能(食物繊維 効能)

腸内環境・便秘予防

  • 不溶性は便の容積を増やし、排便リズムを整えます。
  • 水溶性は腸内細菌のエサとなり、善玉菌優位な腸内環境づくりを助けます。

血糖値・コレステロール・生活習慣病リスク低減

  • 水溶性は食後血糖の上昇をゆるやかにし、インスリン負担を軽減。
  • 胆汁酸やコレステロールの排出を助け、血中コレステロール低下に寄与。
  • 結果として、糖尿病・脂質異常症・高血圧など生活習慣病リスクの低減に役立ちます。

体重管理と満腹感

  • 食物繊維は噛む回数や胃内滞留時間を増やし、少量でも満足感を得やすく、エネルギー過多を防ぎます。

食物繊維の1日の必要量(目標量)(食物繊維 1日の必要量)

日本人の食事摂取基準(2025年版)の目安

最新の基準では、生活習慣病予防の観点から成人で1日25〜29g程度の摂取を目標とする指針が示されています(詳細は厚労省資料参照)。

年齢・性別による違いと平均摂取量の現状

  • 目標量は年齢・性別で微調整されますが、成人男性はおおむね20g以上、女性は18g以上を下限の目安に、理想は25g超を意識したいところ。
  • 一方で国民健康・栄養調査では、日本人の平均摂取量が概ね17〜18g/日にとどまり、目標に届いていない現状が示されています。

食物繊維不足の症状(食物繊維 不足症状)

消化器のトラブル

  • 便の量が減り、硬くなることで便秘やお腹の張り、排便困難が増えやすくなります。
  • 腸内細菌バランスが乱れ、ガス・不快感・肌荒れなどに波及することも。

代謝・循環器のリスク

  • 食後高血糖が起きやすくなり、インスリン抵抗性の悪化につながる可能性。
  • コレステロールの調整機能が働きにくく、動脈硬化リスクの一因となり得ます。

食物繊維を多く含む食品(食物繊維 含まれる食品)

野菜・果物・海藻・きのこ

  • 野菜:ごぼう、ブロッコリー、にんじん、キャベツ、ほうれん草
  • 果物:りんご(皮ごと)、柑橘、バナナ、ベリー類
  • 海藻:わかめ、昆布、ひじき(特に水溶性)
  • きのこ:しいたけ、まいたけ、えのき

穀類・豆類・いも類

  • 穀類:玄米、雑穀、オートミール、全粒小麦パン
  • 豆類:大豆、納豆、おから、ひよこ豆、レンズ豆
  • いも類:さつまいも、里いも、じゃがいも(冷ましてレジスタントスターチ増)

調理と食べ方のコツ

  • 主食を精製→全粒へ一部置き換える(白米に雑穀を混ぜる、パンは全粒粉を選ぶ)。
  • 汁物に“具”を足す:わかめ+豆腐+きのこで一椀に繊維を集約。
  • 皮や芯も活用:りんごは皮ごと、ごぼうは皮をこそげる程度に。
  • 間食はナッツ、ドライフルーツ、ゆで豆、小袋サラダなどに置換。

過剰摂取の注意点(食物繊維 過剰摂取 注意点)

急増による腹部膨満・ガス

短期間で大量に増やすと、腸内で発酵が進みお腹の張りやガスが出やすくなります。数日〜1週間かけて段階的に増やし、水分も十分に

ミネラル吸収への影響

サプリ等で極端に多く摂ると、カルシウム・鉄・亜鉛の吸収を妨げる可能性があります。基本は食品からバランスよく

持病がある場合の留意点

消化器疾患(過敏性腸症候群、狭窄、術後など)がある方は医師・管理栄養士に相談し、量・種類(水溶性中心など)を調整しましょう。

まとめ(食物繊維 まとめ)

  • 食物繊維は腸・血糖・脂質など全身の健康に関わる重要成分
  • 成人は25〜29g/日を目標に(個人差あり)。日本の平均はまだ不足気味なので、主食・汁物・副菜・間食で少しずつ積み増しを。
  • 無理のない増やし方と水分補給をセットで行い、体調や持病に応じて種類と量を調整しましょう。

参考リンク(公的情報・日本語)

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維」:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-016.html
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-05-001.html
  • 日本人の食事摂取基準(2025年版)策定ポイント(PDF):https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
  • 令和5年 国民健康・栄養調査 結果の概要(PDF):https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001338334.pdf
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